本の紹介 > 羽田 圭介
人の机って気にならないだろうか。何が入っているのか、どんなものを入れているのか。机の中にはそこに座っている人の全ての秘密が詰まっているのだ。この小説では、兄の机をこっそりとあさることに快感を得た弟が幾度にわたり机あさりの犯行に及ぶ。それを兄が神経質に咎めるほど弟は執拗に犯行に駆り立てられる。そして、兄は弟を、弟は兄を蔑む。この決して交わることのない二人の関係が、無言の戦いを静かに加熱させる。