伊坂 幸太郎
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伊坂 幸太郎
文庫本 | オーデュボンの祈り |
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→単行本版も参照 | 何かが欠けた島「荻島」。そこに流れ着いた伊藤と住人たちの奇妙な物語。奇妙と言っても悪い意味じゃない。そこの住人も、そこの法律も、その島自体も、全てが不思議で理解を超えているのだ。島を案内されながら感じる不安と疑問そして期待。伊藤は不可解とも思える生活を当たり前に過ごす住人に意味付けしながら、自分の取るべき未来を決めていく。作中では、誰にも止められない大きな流れと、人の本質が新しい世界観で描かれています。 |
文庫本 | 重力ピエロ |
→単行本版も参照 | 何でもないようなことでも最後には一つに繋がる。物語に意味のないものなど何もなく、一見、無関係に思えるものでも絡み合い、物語に重大な影響を与えていることもあります。ほんの少しミステリー要素も混じえて、シリアスな内容も含んでいるのに、軽快にテンポ良く話が進みます。惹きこまれました。 |
単行本 | チルドレン |
→文庫本版未発売 | 一つ一つの短編がうまく絡まり、一本の時間軸へ繋がるのが面白い。読み終えた時にいくつもの爽快感が込み上げてくる。中でも面白いのは、家庭裁判所調査官が子どもたちに騙されながらも、子どもの味方として子どもと向き合っていく様子だ。変わり者な調査官のちょっと真似できないカッコよさが、気持ちいいくらいに際立っている。笑いと驚きがたくさんあり、短編ごとよりも、全体を通して楽しみたい作品です。 |
単行本 | 魔王 |
→文庫本版未発売 | おまえは戦わないのか?——そう問いかけてくる物語だ。世界を諦めた大人や、大人に失望した子ども、未来を担う全ての人に、それでいいのか?と投げかけている。主人公の特徴でもある「考えろ」と何度も自分に唱えている様子や、一人の政治家によって人々が一斉に動いていく様子は、力強さと恐怖を同時に感じさせる。物語にある、全体主義の原義とファシズムの境や、国民投票による憲法改正の意義と危険性など、扱われる内容は決して簡単なものではないが、物語性が失われていないために面白く読みやすい。象徴的に描かれている魔王の存在に気付いた時に、自らの意志と覚悟が問われる。 |
文庫本 | 陽気なギャングが地球を回す |
→新書本版も参照 | それぞれ得意分野を持つ4人のギャングが、鮮やかな手口で銀行強盗を行います。特技を生かし、素早く正確に作戦を実行する。しかし、上手くいくと思われた作戦に想定外の邪魔が入り、雲行きが怪しくなっていく。4人は危険を承知で、自分たちの理念に従い動き出す。緻密な文章が個々の心情を引き立て、時に理屈に合わない人の心理を映し出し、意外な展開を広げます。仲間を想うギャングたちの悪を感じさせない魅力と笑いが詰まった作品。何よりもロマンを求める愉快な銀行強盗たちの物語です。 |