奥田 英朗
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奥田 英朗
文庫本 | イン・ザ・プール |
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→単行本版も参照 | 何らかの形で神経が尖ってしまい病院の神経科に足を運んだ患者と、そこで待ち受ける医者の伊良部一郎。この小説はここに訪れた患者と医者の様子の一部始終が描かれています。しかしこの伊良部という医者は、一体どこらへんが医者なのか分からない。たいして症状も聞かなければ、カウンセリングのような治療もしない。本当に任せて大丈夫なのか疑わしいのだ。患者は伊良部の「明日も来てね」という言葉に何となく従いながら、日に日に伊良部のペースに引きずり込まれていく。真剣に悩む患者と、全く悩まない医者の関係が笑いと清々しさを与えてくれます。 |
単行本 | 空中ブランコ |
→文庫本版未発売 | 「イン・ザ・プール」の続編という位置づけですが、どちらから読んでも楽しめると思います。前作同様、今回も病院の神経科に来た患者と、医者の伊良部との関わりが描かれています。今回は伊良部の大学時代の知り合いが現われたり、助手のマユミちゃんの新しい一面が見られたりと、前作を読んでいる人は物語と共に登場人物でも楽しむことができます。軽快な文体と医者とは思えない大胆な行動は読んでいて面白く、爽快です。伊良部先生の相変わらずの突飛な行動に魅了されました。 |
文庫本 | 最悪 |
→単行本版も参照 | 日々を幸せではないが、平穏に過ごしていた零細企業の社長、銀行のOL、パチンコに溺れる若者の3人。この何の接点もない3人が、ほんの些細な出来事の積み重ねから最悪へと転落していき、その過程で絡み合っていきます。それぞれの視点で転落していく日常の様子が描かれ、人の恐怖や混乱などの感情がリアルに表現れています。スリルがあり、一気に読みきれます。最後まで飽きさせることのない展開でした。 |