綿矢 りさ

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朝子は女子高生というブランドを家具と共にゴミに捨て、自分もゴミのようになってみた。何かが残り、生まれ変われるかと試してみた。しかし、何かが残った感覚はなく途方に暮れていると、ゴミとして捨てた壊れたパソコンが小学生に拾われ、あっさり直されてしまう。パソコンに先を越された気分だったが、小学生はついでに朝子まで拾ってくれた。チャットでバイトをしないか誘われ、小学生と手を組むことになる。チャットの中の虚ろな現実が、楽しさとむなしさを与え、やがて感覚を麻痺させていく。

単行本蹴りたい背中
蹴りたい背中
→文庫本版未発売

「仲間だもん」…なんとも嘘臭い。ただ同じグループなだけ。みんな調子いいことばっかりでうんざりする。でもやっぱり友達はほしい。そんな素直になりきれない高校生の女の子ハツが様々な矛盾と葛藤、そして憎愛をひろげていく。どのクラスにも一人はいるような無口な人。そんな人の気持ちが胸に迫る表現で描かれています。また、量、内容ともに初めて小説を読もうと思う人にも手がつけやすい作品だと思います。