イン・ザ・プール
イン・ザ・プール
奥田 英朗
何らかの形で神経が尖ってしまい病院の神経科に足を運んだ患者と、そこで待ち受ける医者の伊良部一郎。この小説はここに訪れた患者と医者の様子の一部始終が描かれています。しかしこの伊良部という医者は、一体どこらへんが医者なのか分からない。たいして症状も聞かなければ、カウンセリングのような治療もしない。本当に任せて大丈夫なのか疑わしいのだ。患者は伊良部の「明日も来てね」という言葉に何となく従いながら、日に日に伊良部のペースに引きずり込まれていく。真剣に悩む患者と、全く悩まない医者の関係が笑いと清々しさを与えてくれます。