熱帯魚

熱帯魚
吉田 修一
熱帯魚

この物語は仮設便所の中から始まります。換気が悪く、むし暑い中、紙がないため軽い監禁状態に陥った主人公の大輔がそこにいます。しかしそこに知り合いが通り、大輔は紙をもらうことができ、やっと苦しい仮設便所の中から解放されるのです。この小説には、このような監禁と解放が姿を変えて度々著されています。題名の熱帯魚には、この二つの側面を持たせた上で、登場人物に喩えているようです。感情丸出しの大輔を通して、苦しさや淋しさから逃れようとしている人物が、温度差を持って描かれています。

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